IAMAS: Triptyque 01「グリッチ」を鑑賞する:原田和馬“Glitch” Works by KAZUMA HARADA
本学のメディア表現学研究プロジェクトにおいて6月4日より、図書館にて映像展示を行います。この展示は「IAMAS: Triptyque」と題し、図書館に設置された3台のディスプレイを共通のメディアとして、映像の可能性を自由に実験するためのシリーズです。
第1回目となる今回は、「「グリッチ」を鑑賞する」をテーマに、原田和馬の《click/ glitch》(2018年)を展示します。7月18日には、関連イベントとして同会場で作家と伊村靖子講師とのトークも開催します。
作品について
グリッチ [glitch] は、バグやノイズ、あるいは「エラー」とも人々から認識され呼称される概念であり、現象である。しかし、エラーと決定的に異なる点は、デジタルデータが何らかの理由によって破損した状態で再生される状態が続くことである。例えば、動画再生ソフトウェアが予期せぬ終了をすることはエラーであるが、映像が乱れ続けようとも再生が続く状態はグリッチであると区別される。
《click/ glitch》では、意図的に破損させた動画ファイルをクリックという行為のみで操作し、「グリッチ」を顕にしようとしている。動画再生ソフトウェアにおけるシークバーや逆再生 / 早送りボタンといったインターフェースをクリックし続ける行為によって、本来の映像には存在していなかった像がそこには現れる。3つのディスプレイで提示される作品はそれぞれ「クリック」という行為に対するアプローチが異なっている。マウスを用いた人力によるクリック操作。プログラムによって完全に制御されたクリック操作。そして、人力とプログラム制御が同時に行われる操作。
本展示は「グリッチ」を主題とする作品における個別の表象、共通する行為についての関係 / 無関係性を鑑賞する試みである。(文:原田和馬)