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5つの作品と7つのワークショップで、
ここからアイデアを生み出していく
見てジリジリ、試してメキメキの展覧会

「アーティスト」という人物は、何か特殊な能力を持っているのだろうか?天才的な閃きがあるから作品を生み出せているのだろうか?アーティストであっても、作品にしない、作品未満の思いつきというのはある。いわば、作品の種とも言える発見がそこにある。その種には、作品へと育っていくアイデアの元がつまっている。作品の種には、表現というにはまだ弱々しい、けれどもそのアーティストらしい観察眼のエッセンスが含まれている。観察眼のエッセンスというのは、アーティストがこんなものを面白いと思っているんだ、こんなふうに世界が見えているんだ、という「世界の面白がり方」のようなものだ。世界の面白がり方を何種類も提示してみれば、そのアーティストがどんなふうに世界を眺めているかがおぼろげながら見えてくるだろう。
 一方、「ミュージアムエデュケーション」は、必ずしもアーティストの世界の眺め方だけを称賛したりはしない。アーティストは独特のものの見方をしているが、「鑑賞者も鑑賞者なりの面白がり方をしているんだ」という立場をとる。アーティストが独自の世界の眺め方をして生み出した作品に、さらに「独自の解釈を創り出して」その作品を能動的に読み込んでいく。そこには、アーティストさえ思いつかなかった解釈の広がりが生まれるかも知れない。そして展覧会場は、鑑賞者同士の異なる視線が交錯し、多様な立場の人が集まり交流する場になる。

─クワクボリョウタ、会田大也

IAMAS ARTIST FILE #06
みるこころみるかえりみる

2018.9.8[土]– 11.3[土?祝]
岐阜県美術館
開館時間
10:00-18:00(入場は17:30まで)
夜間開館日
9月21日(金)、10月19日(金)は20:00まで開館(入場は19:30まで)
休館日
月曜日(祝?休日の場合は翌平日)
観覧料
一般 500円(400円) 大学生 300円(250円) 高校生以下は無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けている方およびその付き添いの方(1名まで)は観覧無料
主催
岐阜県美術館、ope体育_ope体育app|官网[IAMAS]
共催
岐阜新聞社 岐阜放送
後援
岐阜県教育委員会、岐阜市教育委員会、大垣市教育委員会
協力
岐阜県社会保険協会
制作
IAMAS あたらしいTOYプロジェクト

みる

クワクボリョウタの作品

みる ─ 粒子

液体や粒子などを使って、音や振動など直接は目に見えない現象を視覚化するサイマティクスという手法があります。この作品ではゴマ粒が音によって振動していますが、そのうちの2粒だけに色をつけてあります。見る人にとっておそらくこの2粒を無視することは困難なはずです。繰り返される物理現象の中に、個別の物語のようなものが見いだされはしないでしょうか。
回路制作:津曲洸太
>みる ─ 粒子

みる ─ 時刻

1日は86400秒。現代の1秒はセシウム133から放射される電磁波の周期を基準としており、人間の意識とは関係なく均一に流れていくものとして定義されています。一方で人間が感じる1秒の長さは必ずしも均一ではありません。この作品は時刻の数字が持つ印象の不均一さを表すデジタル時計です。例えば8月13日2時8分37秒と10月10日10時10分10秒では何か感じ方が異なるのではないでしょうか。
>みる ─ 時刻

みる ─ 幕

カーテンの裏に隠れた経験がある人なら、その空間の独特の感じを覚えているのではないでしょうか。カーテンには、窓の外から部屋の中を見えないように隠すだけでなく、外からの光や放射する熱を遮ったり、空気の層を作って断熱したり、音を吸収したりと様々な機能があり、内と外を分ける役割を持っています。この作品はカーテンで囲まれた空間を移動していくものです。
>みる ─ 幕

みる ─ 硬貨

ゲームセンターにある「メダル落とし」を現金硬貨に置き換えたものです。硬貨は美しい金属光沢を持ち、手に取ると心地よい重みがあり、ぶつかり合うといい音がします。表面には立派な絵柄が刻印されていて、しかも、物を買うことができます。一方、メダルは外観は硬貨に似ていますが貨幣価値はなく、仮想通貨は貨幣価値はありますが物理的に存在しません。感覚的な好ましさと社会的価値は互いにどう関係しているのでしょうか。
協力:株式会社タカデン
>みる ─ 硬貨

みる ─ 曲面

曲面のテーブルの中央に穴があり、そこから球体が現れて転がり始めます。その球体は曲面に沿ってさまざまな軌跡を描きますが、やがてテーブルの端にたどり着き、そこから下へ落ちていきます。連続する滑らかな運動とその終了、同じ結末に至る様々な経緯を見守るような作品です。
>みる ─ 曲面

こころみる

  • 会場:企画展示室(映画を2回観る会のみ講堂)
  • 対象:小学校4年生?大人(小学校4年生は保護者同伴)
  • 参加方法:当日受付(開始30分前より受付)
  • 参加人数:先着15名(※映画を2回観る会は先着45名、モノトークは先着6組12名)
  • 参加料:無料、ただし「IAMAS ARTIST FILE #06」の観覧券が必要
会田大也 ワークショップ

パスタ建築ワークショップ

山口情報芸術センター[YCAM]教育普及プログラム
9月8日(土)、9月9日(日) 11:00?12:30

パスタを素材とした建築物を作るワークショップです。ものづくりをしますが、個人のセンスや造形力は問いません。ルールにしたがって作るだけで、なぜかユニークな形が生まれます。計算機科学の一つである「セル?オートマトン」の原理と、自然界に存在する「設計者なしの造形」の秘密について楽しみながら簡単に理解出来ます。
>パスタ建築ワークショップ
画像提供:山口情報芸術センター[YCAM] 撮影:丸尾隆一

マネーワークショップ – おカネの誕生から未来の姿まで

9月29日(土)、9月30日(日)14:00?17:00
10月28日(日)11:00?15:00 ※途中1時間の休憩あり

電子マネーやブロックチェーンといった新しいおカネの形が生まれる現代において、子どもでも分かりやすい「価値交換の原理」をワークショップとしてデザインしました。参加者は、「物々交換」の時代から、「負債メモ」としてのおカネの誕生を経験し、いっきに未来へ飛んで「電子マネー」を扱うようになります。商品?交換?労働という、学校では教えてくれない「ケイザイの話」を遊びの中で理解していきます。
>マネーワークショップ–おカネの誕生から未来の姿まで

映画を2回観る会

山口情報芸術センター[YCAM]教育普及プログラム
10月14日(日)、10月20日(土) 11:00?12:30

映画を2回観る間に、参加者同士で「観えたもの」についてコメントをしていきます。自分が気がつかなかったことに他の人が気がついていたり、逆に自分だけが気づいていることがあったりなど、一つの映画を観ているのに全く違う経験をしている可能性に気がつきます。また、同じ映画を2回観た後には不思議なことがおきています。このワークショップは、作品を「観る」ということの不思議さに気がつくワークショップです。
映画を2回観る会
画像提供:山口情報芸術センター[YCAM] 撮影:丸尾隆一

オリジナルワークショップ

10月28日(日)、11月3日(土?祝) 11:00?12:30

来場者たちとの交流を通して、ミュージアムエデュケーターの会田大也が期間中にオリジナルワークショップを開発します。来場者たちが発見した展覧会の楽しみ方や、使いこなし方が盛り込まれる予定です。岐阜県美術館で生まれた新しいワークショップが世界中を巡回することになるかもしれませんね!

※ 10月28日(日)は、マネーワークショップ(11:00?15:00)に変更となりました。
IAMAS 学生ワークショップ

モノトーク

9月17日(月?祝)11:00?12:30
担当 野呂祐人

身近にあるモノを素材にして、2人で対話しながら一緒に1つのカタチをつくる造形遊びを体験します。そのとき、「言葉を交わさないで作る」というルールを設けます。つまりこのワークショップでは、言葉を使わない共同制作によって、作っているモノを通した対話(=モノトーク)をします。普段のコミュニケーションでは気づかなかったお互いの考え方を発見したり、いつもとは違う関係性を築きながら作品を生み出します。
※参加は必ず2人1組(友達、兄弟、親子など)での受付になります。
モノトーク

観察ねんど

9月23日(日)11:00?12:30
担当 平瀬未来

粘土を素材として、モチーフに選んだものをそっくりに作る「模刻」という彫塑作品の作り方を体験します。自分の記憶だけに頼って作る方法と、実際にものを見ながら作る方法の2つの作り方でモチーフを作り、比較します。作ることを通して形を観察する行為を促し、普段自分がものの形をどう捉えているのか、実際の形の気づいていない部分は何かを探ります。また、ものの形の成り立ちや、記憶で捉えているイメージ化された形が日常でどのように使われているかを学びます。
観察ねんど

空間まちがいさがし

10月7日(日)11:00?12:30
担当 五十川泰規、柴田一秀、柴田英徳、中田航平

空間版「まちがいさがし」を通して、身体を使ったものの見かたを体験します。与えられた写真だけを頼りに、参加者全員で撮影された部屋の再現を行い、次に撮影された部屋と再現した部屋を比較します。実際に部屋のモノに触れ、部屋中を動き、耳や鼻も使い観察することで、絵や写真のまちがいさがしとは違った、視覚だけではなく身体を使うことでしか気づけない「見かた」を感じられるワークショップです。
空間まちがいさがし
関連イベント
ナンヤローネアートツアー
9月8日(土)13:30?14:30
会場:多目的ホール、企画展示室 担当:当館教育普及係
(問い合わせは岐阜県美術館 教育普及係まで)
http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/page5381.php
ギャラリートーク
9月21日(金)18:30?19:30、10月19日(金)18:00?18:30
会場:企画展示室 担当:西山恒彦(岐阜県美術館 学芸員)
アーティストトーク
10月20日(土)14:00?15:30
会場:企画展示室 出演:クワクボリョウタ、会田大也
作家略歴

クワクボリョウタ

ope体育_ope体育app|官网 准教授/アーティスト
デジタルとアナログ、人間と機械、情報の送り手と受け手など、さまざまな境界線上で生じる事象をクローズアップする作品によって、「デバイス?アート」とも呼ばれる独自のスタイルを生み出した。2010年発表のインスタレーション《10番目の感傷(点?線?面)》以降は、観る人自身が内面で体験を紡ぎ出すような作品に着手している。アートユニット、パーフェクトロンとしても活動。『デザインあ展』(富山県美術館、日本科学未来館)の展示構成などを手がける。
クワクボリョウタ

会田大也

東京大学ソーシャルICTグローバルクリエイティブリーダー育成プログラム
グローバルデザイン ワークショップ機構特任助教
山口情報芸術センターにて2003年より11年間、チーフエデュケーターとして教育普及を担当。メディアリテラシー教育、美術教育、地域プロジェクトの分野で、オリジナルのワークショップやプログラムを開発実施した。一連のワークショップにてキッズデザイン大賞受賞、企画展示「コロガル公園シリーズ」は、文化庁メディア芸術祭、グッドデザイン賞などを受賞。「あいちトリエンナーレ2019」へはキュレーターとして参加予定。
会田大也
交通案内
公共交通機関ご利用の場合
JR東海道本線西岐阜駅 南口から南東へ徒歩約15分
西ぎふ?くるくるバス:「JR西岐阜駅南口」乗車、
「県図書館?美術館」下車
岐阜バス 鏡島市橋線「市橋」行き:JR岐阜駅前[6番乗場]、
名鉄岐阜駅前[1番乗場]で乗車[約15分]「県美術館」下車
タクシーご利用の場合
JR東海道本線岐阜駅および名鉄岐阜駅から乗車[約10分]
自家用車ご利用の場合
名神高速道路 岐阜羽島ICから北進約10km
東海北陸自動車道 岐阜各務原ICから西進約10km
※無料駐車場有り/車いすをご使用の場合は、
レストラン北側(2台)の駐車場をご利用ください。[無料]
STAFF
  • クワクボリョウタ
  • 会田大也
  • 制作協力
  • あたらしいTOYプロジェクト
  • 池田慧太
  • 佐々木耀
  • 佐藤栞
  • 佐藤優太郎
  • 柴田一秀
  • 竹村望
  • 棚原みずき
  • 中路景暁
  • 野上萌
  • 藤本遼太郎
  • 森田理紗子
あたらしいTOYプロジェクト
  • ワークショップデザイン
  • 五十川泰規
  • 柴田一秀
  • 柴田英徳
  • 中田航平
  • 野呂祐人
  • 平瀬未来
  • ワークショップ展示什器デザイン
  • One-size-fits-one / LAP
  • ワークショップ什器制作
  • 冨田太基
  • 制作進行
  • 八嶋有司
  • 展示設営責任
  • 有限会社 トリガーデバイス
  • WEB
  • 伊藤晶子
  • 編集
  • 八嶋有司
  • 株式会社STUDIO PT.
    (中西要介/中澤耕平/根津小春)
  • デザイン
  • 株式会社STUDIO PT.
  • イラスト
  • fancomi
  • 企画
  • 岐阜県美術館(西山恒彦/齋藤智愛)
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