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The Art of Listening
金山智子
吉田茂樹、松井茂
センタービル12F
レセプションルーム
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研究概要
「きくこと」は人が生きていく上での基本的な行為であり、また人と関係する上での土台でもあります。そして「きくこと」は研究や表現活動にとっても重要です。リサーチャー、フィールドワーカー、アーティスト、アーキヴィスト、エンジニアなど多様な人たちが多様な「きくこと」を実践しています。「語り」は、語り手と聞き手の相互行為による共同生成ですが、「語り」に多くの注目が集まり、「きくこと」はあまり議論されてきませんでした。多くの人たちにとって「きくこと」は受動的行為と思われているのかもしれませんし、「きくこと」は過去や現在に関わる行為であり、未来へつながるとはあまり考えられていないのかもしれません。本プロジェクトでは、「きくこと」を表現技法として位置づけ、その方法論や実践、哲学的意義にアプローチすることを通じて、自発的で創造的な行為として考えていきます。
本年度の活動内容
2024年度前期は、ネットやSNSによるコミュニケーションに慣れ、人と直接話をする機会が少ない若い世代の履修生たちと会話を重ねながら、「きくこととは何か」を問うことから始めました。特に、知らない人と話すことに慣れていない履修生たちは、7月のオープンハウスでは、現在使用されなくなった公衆電話によるコミュニケーションをテーマにした「顔なしふぉん問答」を企画、面識のない人とのコミュニケーションから「きくこと」の難しさや面白さなどを体験しました。 後期は、メンバーの関心や研究に紐づけながら、以下のようなさまざまな活動を通して「きくこと」を実践し、考察を深めました。
1. 大地の芸術際越後妻有アートトリエンナーレ 津南エリア(展示鑑賞と秋山地区フィールドワーク) 2. シンポジウム「世界の中の秋山郷」ティム?インゴルド氏講演会 3. 「IAMAS顔なしフォン問答」(Ogaki Mini Maker Fair 2024) 4. 「日々の痕跡としてみるToDoリスト」 ワークショップ (メディアコスモス) 5. 能登地震被災地視察&復興ボランティア (石川県珠洲市/能登町) 6. トークイベント 伊藤雄馬(言語学者)&マユンキキ(美術家) (IAMAS2025) 7. 公開インタビュー 弓指寛治(芸術家)
古いメディアでのやりとり、地域芸術祭での住民や関係者とのやりとり、能登の被災者たちと のやりとりといった多様な実践を通して、自分の知覚や感性と、能動的なきくという行為ついて、各自考える機会となりました。また、社会人類学者、美術家、言語学者などの専門家たちの話をきき、他者に伝えていく行為についても、「きくこと」の連関として捉える機会になりました。企画されたワークショップでは、一般的に個人的記録であるTo Do List をもとに語り合うことで、語ることと聴くことの関係性についても再考することになりました。2024年度最後の活動として、これまでのプロジェクト活動を通してつながった美術家や研究者に話をきくトークとインタビューを予定しています。