IAMAS OPEN HOUSE 2024 博士後期課程の学生がいま考えていること
はじめに
設立4年目を迎えたIAMASの博士後期課程は、まだまだ謎に包まれているところが多いのが現状です。そのような中、実際のところ博士後期課程はどうなのか、在籍中の有志学生と指導教員が率直に語る場を持ちました。
今回参加の3名の学生は、普段はリモート環境での研究となり、少人数でクローズドな場でのやり取りが多くなります。オープンハウスでは、その場を外に開き、進学動機、研究、未来の展望などを語り合うことで、学内外で横の繋がりのきっかけになることを目指しました。当日は、朝の開催にもかかわらず40名以上の方々に参加いただきました。
主催者を代表し、当日の様子を博士後期課程1年の栗原がope体育_ope体育app|官网します。
自己紹介
最初に、学生と教員が自己紹介を行いました。
一人目は、2年生の蛭田直さんです。普段は神戸芸術工学科大学の生産?工芸デザイン学科に准教授として務めています。主研究指導教員は、小林茂教授です。
研究テーマは、「産学官連携による持続可能な挑戦を可能にする伝統的工芸品産業の環境構築」です。七宝焼の中で、電気鋳造で素地を作る電鋳七宝に、デジタルファブリケーションを活かし、職人の方々が自発的に技法や表現に挑戦できるような環境が構築できるかについて取り組んでいます。
現職に就くまでに信州大学の教育学部に10年強在籍し、2017年からオンラインのデザイン学習ツールである「トライアングルパターンメーカー」の開発に取り組み、作業の困難さにより限られた専門領域でしか学べない状況にあるパターンデザインを制作できるウェブアプリケーションをデジタル教材として開発しました。その後、七宝焼の製造に関わる貴重な資料となる図案のデジタルアーカイブ化、FabLabとの連携による神戸芸術工科大学型デジタルファブリケーション環境の構築など、様々な活動に取り組んでいます。
二人目は、1年生の荒川貴将さんです。研究テーマは、「コードに存在するアート的価値の再解釈と新しい表現の創出」です。プログラミングのコード自体が作品であるものを、新しいアートのジャンルとして論じたい、確立したいと考えています。主研究指導教員は、松井茂教授です。
ソフトウェアエンジニアとして仕事をしながら博士課程に通っています。仕事では、メルカリでブロックチェーンのスマートコントラクトのエンジニアをしています。前職はメタップス、富士ゼロックスでソフトウェアの開発者を担当してきた経歴があります。ブロックチェーンのエンジニアとしてNFTのマーケットプレイスを開発したり、Flowというブロックチェーンの技術アンバサダーをして、その中でスマートコントラクトを使ってアートを作ることをやり始めてもいます。それがきっかけでコードによるアートを深掘りしたいという気持ちが高まり、研究テーマとして取り組んでいます。
三人目は、1年生の私、栗原慎太郎です。研究テーマは、「畏敬の念を引き出すメディア体験とその効果の自律的活用に関する研究」で、指導教員は小林茂教授です。畏敬の念とは、自分をちっぽけに思えるほどの広大さを感じ、その体験を受け入れるために、体験者が今までのものの見方を変えないと適応できない体験を意味します。そのような体験のポジティブな効果を生活の中に取り入れることができたなら、よりよく生きられるのではないかと考えています。
個人的な経験では、フィールドリサーチで訪れた恐山で時間に対する感覚が変わったことや、宮城県の大蔵山に祀られている巨石に触った時に湧いてくるなんとも言えない感覚は、一体何なんだろうという関心を持ってきました。それらを科学的な視点で分析したり、あるいはメディアを介して再現することができるのではないかという思いがあり、両方にアプローチできるIAMASに来た経緯があります。仕事は、会社員を経て、デザインリサーチャーとして働き10年になります。
松井茂先生は、映像メディア学と詩(ポエトリー)を専門とされています。荒川さんと一緒に研究をされています。先ほど、荒川さんが自己紹介で研究テーマであげられたコードアートについて、進学相談時のコードポエトリーから用語にも変遷がみられることを例にあげ、入学後4ヶ月が経過した今、どのような現状なのかについても対話をできるとよいと語られました。
小林茂先生は、自己紹介でご自身が博士を取得された際のことをお話しいただきました。先生は、新設された大学院の2.5期生として入学されています。入学された時はまだ一人も博士号を出していない時期で、現在のIAMASの博士後期課程と類似点があります。また、学位の取得に6年間を要しましたが、今振り返ると準備と頑張り次第では3年で終えられたのではないかと考え、自分の失敗をなるべく繰り返さないよう指導されています。主に研究の進め方や論文として書くときの型を教えるのが博士課程における教員の役割であり、研究分野の最先端に行くのは学生自身であると考え指導しておられます。
進学前、考えていたこと
進学のきっかけについて
蛭田さんは、約10年前から博士号の取得を検討されていましたが、いろいろと事情があり具体化しませんでした。そのような中、今の神戸の大学に移籍されたことがきっかけとなり関西圏のどこかで博士号を取得することを具体化的に考えるに至りました。
IAMASの修士課程を15年前に修了後、デジタルファブリケーションやデザイン教育など、様々なことに取り組んできました。しかし、それぞれが点でしかなく、線に繋げて面にしていくことが難しいと実感もされてきました。それらを繋げていくには、博士課程での研究を経て、研究を続けていくことではないかと思ったのです。
荒川さんは、学生時代に、博士課程に進学する先輩方を身近にみてきて、何かを極めるのが自分には向いているのではないかと思いました。以前、大学院の修士課程の生物学に進学した際も、そのまま博士課程まで行こうと最初は思っていました。しかし、研究に打ち込んで論文も書いていく中で、さらに3年やるのは無理かもしれないと思うに至り、就職したのでした。
そのような経緯で、ソフトウェアエンジニアおよびブロックチェーンエンジニアとして働いており、コードを使った作品を趣味で作ってきました。その中で、コードを使った作品がアートの領域で作品ジャンルとして確立されるかどうかに興味を持つようになったのです。
自分のコードを使って、美しいと感じたり、面白いと感じたりするものを作り、その感覚を自分で説明したいという気持ちが湧いてきました。また、博士号を取りたいという気持ちも相まって、この領域で挑戦したいと考えるようになりました。
IAMASのことを調べる中で、詩を専門にされている松井先生のことを知りアポイントを取りました。自分のやりたいことを説明したところ、ブロックチェーンやNFTに対する批判的なコメントを受け、これらのコメントは、自分がエンジニアとして感じていた問題点を的確に指摘しており、共感を覚えたのでした。また、松井先生の過去の作品についても話を聞き、非常に感動しました。自分のやりたいことに近いと感じ、ぜひ指導していただきたいと思うに至ったのです。
荒川さんの話を受け、松井先生は、次のように付け加えました。IAMASでは専門を自由に書いてもいいところがあるので詩と書いています。しかし、絵画や彫刻と違って、詩の制作について教えてくれる大学や大学院はないわけで、なおざりになっている分野とも言えます。インターネットアートや美術史の中で詩を表現として捉える動きがありながらも、研究が進んでいるとは言い難いと指摘しました。荒川さんがコードを詩として考えることについて、自分の研究の基盤に関わる重要なことだと感じており、荒川さんとの関係を知識の一方的な提供ではなく、共に進めていくパートナーとして捉えています。
私は、修士号を取得した時点で、学問の道はここで終わりにして、実業の世界で成果を出すことに専念しようと考えました。しかし、約2年前に意識が変わるきっかけがありました。
仕事を通じて、畏敬の念に関係する仕事が2つありました。一つはフィールドワークで、東北地方の恐山や白神山地でマタギと一緒に歩くなどの経験をしました。何か大きなものの中で生かされているという独特の感覚を体験し、その正体を知りたいと思うようになったのです。
もう一つは、大手企業とのプロジェクトで、畏敬の念の関連分野を研究することで、将来的に事業化できないかという取り組みを2年間ほど続けました。残念ながら、プロジェクトは一旦打ち切りとなりましたが、このテーマに対する興味は残り、研究を続けたいと考えました。
なぜIAMASだったのか
私が、IAMASを選んだ理由は三つあります。一つは、リモートで研究が可能なことです。仕事や家事、子育ての都合で長期間、家を空けることができないためです。二つ目は、博士からの学生の受け入れです。三つ目は、領域横断的な研究を推奨していることです。IAMASでは、畏敬の念をテーマにした科学と芸術、哲学といった横断的な研究が可能であり、自分の研究の方向性に合致していると感じました。
蛭田さんは博士課程に進学するにあたり、まず京都工芸繊維大学を検討されました。Design Labという実験施設が充実しており、非常に魅力的でした。しかし、指導教員の方が退職するタイミングに重なっており、研究の継続性に不安がありました。
もう一つ検討していたのが、母校のIAMASでした。ちょうどイノベーション工房につながる動きが活発になっており、小林先生が取り組まれている企業のイノベーションをサポートする取り組みに関心を持ちました。その活動は、自身の研究テーマに通じるものがありました。IAMASへの最初の進学相談は、2022年12月でした。最初の小林茂先生への相談をきっかけに考えを整理し、研究計画を具体化しました。
小林先生によれば、相談に来る学生の中には、非常にしっかりと準備をして面談に臨む人もいれば、人生相談的な感じで来る人もいるとのことです。重要なのはその人が本当に取り組みたいという情熱を持っているかどうかです。いろいろやりたいのだけれど、その中でどこがどのような研究になるのかについては不明であった場合、学生がやりたいことが明確であったりパッションがあれば、その中でどこが研究として成立するかについてアドバイスをします。
荒川さんがIAMASを選んだ理由は、松井先生の指導が受けられること、アート系ではない分野で大学や大学院を卒業したにもかかわらず、博士課程から受け入れてくれる学校だったことです。高専出身であることもあり、スタンダードではない道を進みたいという気持ちがありました。IAMASは、アウトサイダー的なアプローチを受け入れる学校であると感じ、その独自性に魅力を感じました。
入学に向けて乗り越えたこと
蛭田さんは幸いなことに、家族には以前から博士後期課程進学の可能性について話していたため、比較的スムーズに理解を得ることができました。また、オンラインで多くのことをこなせる点も家庭との両立するためには大きな利点でした。
12月に小林先生に相談した後、入試の準備を急ピッチで進める必要がありました。博士課程の入試は通常年間3回行われますが(3回目は状況次第)、3回目の入試に向けて準備を開始しました。そのため、書類や研究計画書、口頭試問の準備を短期間で集中して行う必要がありました。日々の業務の合間で、研究計画を具体的にまとめることに多くの労力を費やしました。特に、多くの研究に取り組んでいましたが、それを博士後期課程の研究としてどのようにフォーカスし、進めるかを明確にすることが求められました。
荒川さんには二人の子供がいて、下の子はまだ1歳という非常に小さい状況です。その中で博士後期課程に進学する決断をするのは大きな挑戦でしたが、妻の応援が非常に大きな支えとなりました。具体的には、前年のオープンハウスに参加し、進学の意思を固めました。2回目の入試に向けて準備を進めましたが、研究計画書の作成に加え、TOEFLのオンライン受験が大変だったと言います。
会社はフルリモートで働ける環境が整っており、入試準備期には自分の時間を柔軟に管理することができました。しかし、最近は仕事が忙しくなってきており、時間の管理がより重要になってきています。
私は、仕事が忙しくなると、入試の準備は二の次になりがちでした。時には「やらなくても人生に大した影響はないのではないか」という気持ちが湧いてきました。そんな時、妻が「それではダメだよ」と励ましてくれたことが支えとなりました。
3回目の入試に向けて準備を進めましたが、最初の小林先生への相談メールを送るタイミングが難しく、「これでいいのだろうか」と何度も推敲して何週間も時間がかかってしまいました。しかし、一度メールを送った後は、二週間ごとにアップデートを行うことでスムーズに進みました。
入学後、いま考えていること
実際入学してみて感じるギャップ
蛭田さんは、ゼミでは先生と学生3名で隔週で議論を行っています。研究テーマや領域が異なるにもかかわらず、互いの考え方やリサーチの進め方から多くのことを学ぶことができています。この切磋琢磨する環境が期待していた以上に刺激的で、ポジティブなギャップとして感じています。小林先生の指導方針も影響しており、個々の研究に向き合うだけでなく、グループでのディスカッションを通じて、広い視野での学びが得られています。
しかし、現在のような4名体制で行っているゼミのスタイルは最初からあったものではなかったようです。博士課程1年生の時には、面談のアポイントメントを個別に設定していましたが、夏期休業を挟むと気が抜けてしまうことがありました。そのため、先生の方針で、昨年10月末頃から現在のような隔週でのグループゼミ形式に変更されました。この隔週でのグループゼミがペースメーカーとして機能し、効果的に学びを深めることができています。
小林先生は、ゼミのやり方を変えた背景について以下のように説明しています。進捗が良い時は気楽に参加できるが、進捗がない時は参加しづらくなりがちです。そのため、一対一ではなくグループで進捗を共有することで、お互いのペースをつかみやすくしました。博士後期課程にいる学生は基本的にプロフェッショナルであり、自分の研究内容に対しては難しさを感じている場合でも、他の学生が話している内容に対して的確なコメントができます。これにより、互いに学ぶ環境が作りやすくなります。
また、リモートでのやり取りでは仲間とのコミュニケーションが取りにくいのですが、グループゼミを通じて互いに意見を交換しやすくしたいと思っていました。これにより、つらい時にも相談しやすい環境が整いやすいのではないかと考えています。
蛭田さんは昨年、オープンハウスでの出展を勧められていましたが、バタバタしていたためイベントには参加できませんでした。今年はその反省を踏まえ、オープンハウスに出展することを決意しました。今回の出展を通じて、オフラインでの活動の重要性を再認識し、オンラインだけでなくリアルでの経験も大切であることを実感しました。
荒川さんも入学前からオンラインでの研究を想定していましたが、他の学生や教員、学内のイベントとの接点がほとんどなく、隔離された感じがしています。もともと修士課程から入学したかったため、アートの制作技法や講義を受けることに興味がありましたが、博士課程ではそれが難しいことに直面しました。この点についても予め理解していましたが、実際にはほとんど参加できなかったことが残念でした。ポジティブなギャップとしては、オンライン研究の利便性をあげています。
私は、IAMAS博士後期課程一期生に事前にヒアリングを行い、博士課程の現状についてある程度の情報を得ていました。そのため、マンツーマンで行われる面談形式の指導状況を聞いており、それを前提として覚悟を持って入学しました。
実際に入学してみると、小林先生のゼミで蛭田さんらと隔週でオンラインセッションを行っています。各自の発表は1ヶ月に1回程度のペースで行われ、このペースメーカーが効果的に機能しています。ゼミの雰囲気は、全員で質問しあう前提があり、先生だけでなく、他の学生からの質問や意見交換が、自分の研究を深める上で有益であると感じています。
なお、同期の荒川さんとSlackのダイレクトメッセージを使い、お互いの研究にコメントしたり、月一回の雑談セッションを行い、リモートで不足気味な仲間と共に学ぶ実感を補っています。
仕事や私生活とのバランス
荒川さんは朝の時間を有効に活用することを心がけています。毎朝、8時過ぎに娘を保育園に送りに行った後、仕事が始まる10時までの間に研究を行うようにしています。フルリモートで働いているため、日中に研究の時間を確保することが可能です。週に1日か2日、日中に3時間ほど研究時間を取り、その分は平日の夜に仕事をするように調整しています。今のところ、このスケジュールでうまく研究と仕事を両立できています。
蛭田さんは週1回の大学で担当授業がない日を、共同研究をしている協力企業への出張日に充てています。この日をプレッシャーにして、進捗を保つことを目標としています。前の週に相談した内容を1週間かけて準備し、出張時に成果を持っていくという形で進めています。
通常、朝9時前には職場に行き、夕方まで授業、学生の指導、機材の管理を行っています。研究に使う時間は主に夕方から夜の9時までです。このスケジュールでうまく研究と仕事を両立させています。仕事の中で突発的なイベントや、高校生向けの体験授業の準備が必要な場合は、大変さを感じることがあります。
私は、フリーランスとしてプロジェクトベースで関わることが多いため、自分でスケジュールを決めやすい利点があります。大学院に入学した4月以降、金曜日とあとどこか半日を研究の日としてカレンダーをブロックしています。この予定は基本的に守るようにしており、どうしても仕事が入ってしまう場合は、他の曜日に振り替えるように調整しています。研究は仕事とは違い、自分のやりたいことをベースにアウトプットすることができるため、精神衛生上もよいと感じています。
Q&A
学生や先生同士のディスカッションが進むにつれ、参加者からさらに議論を深める質問を複数いただきました。いくつかをピックアップしてご紹介します。
Q. 分野横断的な活動をしている場合、どの分野で論文を発表する予定でしょうか?
小林先生は、分野横断的な研究の難しさについて述べています。特に、異なる領域を結びつけようとすると、そのままではどの領域にもはまらないことがよくあります。既存の研究領域に対しては、各コミュニティに適した部分を切り出して提示しつつ、それらをつなげる形で発展させることが重要だと述べています。
博士論文の作成においては、分野横断的なアプローチが特に重要です。先生は、既存の領域における査読付き論文を出すことも重要ですが、博士論文全体としてまとめることで、既存の領域を超えた新たな視点を示すことができると強調しています。
Q. 自分は社会人で修士を取ったのですが、修士でも海外での学会発表などもあり修了に4年かかるほど大変でした。そこで、修士と博士の異なる点は具体的にどういうところにあるのでしょうか?
博士前期課程(修士)では、研究とはそもそもどういう活動なのか、そこにどんな楽しさや型があるのかを学びます。 これに対して博士後期課程(博士)では、研究者として世界的なレベルで学問知に貢献できるような研究を遂行できる能力を学びます。
Q. 修士からの進学を検討しています。 博士後期課程の方との接点をもてる機会というのはなかなか得られないでしょうか?
分野横断的な活動を進める中で、他の学生や研究者との共同研究や発表の機会を積極的に活用しています。例えば、同じゼミの先輩は、自分の研究に興味を持った修士や博士の学生たちの協力を得て進めています。このように、自分の研究に他の学生や研究者を巻き込むことで、より多くの視点やアイデアを取り入れることができると考えています。
また、学内での展示やオープンハウスの機会を積極的に活用しています。これらのイベントを通じて、自分の研究を発表し、他の学生や教員からフィードバックを得ることができます。自分から発表の場を作り出すことも重要だと考えています。
Q. どのタイミングでゼミ、授業や審査会がありますか?
1年生は、入学した4月から6月にかけて週1回朝から16時ごろまで授業がありました。それ以降は、研究プロジェクトについて指導教員とのやりとりになります。ゼミ形式でやられる先生も見えますし、マンツーマンのスタイルもあります。
審査の段階は、1年生は7月に研究計画書の提出、10月にプロジェクト計画Ⅱと言われる2年時に主に行うプロジェクト研究の計画や予算計画を立てるタイミングがあります。また1月に博士研究状況報告会というものがあります。各学年の行事等については別途お問い合わせください。
おわりに
今後1年間の目標について
トークの締めくくりとして、学生各自がこの先1年間の抱負を語りました。
蛭田さんは、現在取り組んでいる技法的な部分をしっかりと確立させることを目指しています。これは、研究の基盤を強固にするための重要なステップであり、技術的な側面を深く掘り下げることに注力します。もう一つの目標は、既存の研究や文献のレビューを通じて、自分の研究をより広い文脈で理解し、位置づけを行うことです。
荒川さんは、新しいコードを使ったアートのジャンル確立に向けて、形式や様式を過去の作品や文献を調査しながら研究していきます。依然、自分の理想とする作品が、出てきていないと感じています。そのため、まずは自分の中で理想とする作品を具体的に作り込むことを目指しています。これを通じて、新しいアートのジャンルをより具体的に示すことができるようにする計画です。
私は、IAMASの内部で定期的に行われるゼミの活動に加えて、学外の活動にも積極的に参加することを目指しています。学会や他の研究者との対話の場を積極的に探し、その中で自分の研究について、どのような説明の仕方をすれば興味を持ってもらえるのかを考え、議論を深めたいと考えています。これにより、領域横断的研究アプローチを具体的に示すことができるのではと思っています。
ここまで、IAMASの博士後期課程は実際はどうなのか、在籍中の有志学生と指導教員がなるべく事前に話すことは決めず、率直に語る場となりました。有志の学生たちが、どのようにしてIAMASに至り、研究に取り組んでいるのかを聴くことで、博士後期課程に何らか関心を持つ学内外の方の少しでも参考になりましたらと願っています。
なお、このope体育_ope体育app|官网の議論が展開された当日の様子を収録した記録動画を公開中です。ここまで読んいただいて、さらに詳細に関心をお持ちの方はぜひご覧ください。